餅ばあし
「餅ばあし」、「餅ばーし」又は「餅ばい」って、何のことか分りますか?「ばあし」は「ばーし」、「ばわし」とも発音されますが、高知の方言つまり土佐弁で「ばう」は共通語では「奪いあう」という意味にあたり、「餅ばあし」は「餅を奪い合う」ことで、所謂「餅まき」、「餅なげ」の事を言います。高知では新築の家の落成(棟上の時ではない)や、様々な祝い事の時に「餅ばーし」が行われます。
「ばあす」と「ぼうてくる」
「餅をばあす(ばわす)」という表現は、持ち投げをする側が使う言い方で、「餅をぼうてくる」という表現は、餅を拾いに来る人が言う言い方です。それぞれ「餅なげをする」、「餅拾いに行ってくる」という意味です。
「餅ばあし」の情報は、どうやって広がるのか、「餅ばあし」のある情報を得たオンチャン、オバチャン達は、前掛けかけて、袋を持って、嬉しそうに「餅をぼうてくる」「おまさんもいっしょにばいにいかんかよ(あなたも一緒に餅拾いにいかない)?」と、誘ってくれます。で…いつの間にか、「餅ばあし」をする場所には大勢の人が集まっているという事になります。また、通りがかりで、餅ばいに参加する事もできるので、あれよあれよという間に人が増えていきます。
餅ばいは戦い!?
新築の家の餅ばいに参加した戦利品が右の写真です。右の真ん中の「祝」と書いた大きな餅は、「餅ばあし」の一番最初に投げられた鏡餅です。一番最初に家を立てた棟梁が投げ、その後、数個が施主の手により投げられました。その後は、小さな祝い餅やおかし、パン等がどんどん投げられます。
小さな祝い餅の中には、小銭(5円)が入っているケースもあります。昔は、餅だけが投げられていましたが、近ごろは、おかし、パン、ラーメン等、色んなものがあります。
変わらないのは、餅をばいあう人の真剣な顔。子どもでも容赦なく突き飛ばされていたり。(小さいと視界に入らず結果的に突き飛ばされているのかもしれませんが…)上空で餅をキャッチする人、落ちて転がる餅を拾う人、それぞれ得意な方法で楽しんでいるようにも見えました、
当ページには2箇所の餅ばあしの写真を掲載しています。